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使い続ける豊かさ。大阪・関西万博とサーキュラーエコノミー

2025.12.22

2025年大阪・関西万博で「リフォーム・リペア・リメイク」が大きな反響を呼び、5万人以上がサーキュラーエコノミーの展示に足を止めました。捨てることが当たり前だった時代から、使い続ける価値へ――その転換点に、私たちは立ち会っています。その動きは、確かな広がりとして社会に根づき始めています。
今回は、リフォームスタジオのサーキュラーエコノミーの考え方、万博での展示を紹介します。

私たちの服は、どこへ行くのか?


私たちが手放した服は、その後どこへ行くのでしょうか。普段は意識しないその行き先には、大量生産・大量廃棄による影響が着実に積み重なり、いま見直しが求められています。

知られざるファッション業界の環境問題

ファストファッションの普及は、地球環境に大きな負荷を与えています。ファストファッションとは、流行を素早く取り入れた服を迅速かつ大量に生産し、短期間で売り切るビジネスモデルのことです。その手軽さは、衣服を使い捨てる消費行動を加速させています。

国連環境計画(UNEP)によると、世界では年間9,200万トンもの衣類が廃棄されています。*1また、環境省の資料によれば、日本では服がゴミとして出される量が年間約48万トンにのぼり、毎日大型トラック約130台分*2が焼却・埋め立てされています。

こうした大量生産・大量消費は資源とエネルギーの過剰な消費につながっています。

「安く買って、すぐ捨てる」のコスト

「安く買って、すぐ捨てる」のコスト
安く買ってすぐ捨てる消費行動は、私たちが思う以上に大きな環境負荷を生んでいます。エレン・マッカーサー財団の2017年の報告書によれば、2000年から2015年の間に、世界全体で衣料品の利用率が36%低下*3し、1着あたりの着用回数が大幅に減っています。その一方で、廃棄される服の多くはまだ着られる状態です。

必要以上に買い、短期間で手放す習慣は、資源の大量消費や環境破壊といった“見えないコスト”を伴っています。それでも「もったいない」と感じつつ捨ててしまう矛盾が、消費の循環を止めています。服を最後まで活かすことが、環境負荷を減らす点で重要なのです。

転換点としてのサーキュラーエコノミー

大量生産・大量消費を前提とした従来の経済から、資源を循環させて活用するサーキュラーエコノミー(循環経済)へ移行が進んでいます。これは、廃棄物を極力出さない設計で長く使えるものをつくり、使う側も捨てずに活かし続ける仕組みです。

ファッションの世界でも、リサイクルやリペア、リユースといった循環型の取り組みが広がり、新しい価値を生み始めています。
循環経済(サーキュラーエコノミー)に向けて 令和3年 環境白書(環境省)を加工して作成

広がるサステナビリティ実践の新しい波

サステナビリティへの関心が高まるなか、世界では「使い続ける」ことを前提とした新しい消費の形が広がり始めています。

世界で加速する循環型消費への転換

世界では、モノを長く使う循環型消費への転換が進んでいます。背景には、資源を使い捨てない社会を目指す動きの広がりがあります。欧州や米国で広がる「修理する権利」は、消費者が自分で修理できるよう、企業に部品や情報の提供を求める仕組みです。こうした取り組みが、買い替え前提の消費から循環型の行動へと変化を後押ししています。

循環型消費が生む価値

循環型消費は、環境や暮らしに以下の2つの価値をもたらします。

  • 廃棄を減らし資源を守る
  • 修理して使い続ける方が経済的

前者はCO2排出や水資源の消費を抑え、環境負荷を軽減します。後者は買い替えの頻度が減るため、長期的に支出を抑え、持ち物への満足度も高めます。

リペア・リフォームが持つ本当の価値

リフォーム(仕立て直し)やリペア(修理)は、大きく廃棄を減らす力があります。思い出をつなぐ価値や、意外なものまで直せる驚きもその魅力。私たちの暮らしに寄り添う循環のかたちです。

年間1,200トンの廃棄を削減する現実

リフォームスタジオは、創業から40年近くにわたり、洋服の仕立て直しや靴・バッグの修理を通じて、身近な暮らしの中で「直して使う」文化を支えてきました。年間約270万人が利用し、その結果、毎年およそ1,200トン(大型トラック約120台分)もの衣料品や革製品が捨てられずに済んでいます。

さらに、2025年3月から2028年2月までの3年間で、合計4,000トンのリペア・リフォームを実施することを目標*5に、リフォームスタジオは循環型社会づくりに取り組んでいます。

万博で伝えられた「使い続ける」喜び

万博で伝えられた「使い続ける」喜び

より多くの方にリフォーム・リペア・リメイクの価値を知っていただき、「直してみよう」というきっかけにしていただくため、循環型社会づくりの取り組みの一環として、2025年9月に大阪・関西万博で開催された、経済産業省主催・循環経済を楽しく学べる体験型イベント「サーキュラーエコノミー研究所」へ出展しました。

万博の会場では、幼児〜小学生の子ども連れファミリーや女性を中心に、リメイクや修理への関心が高い来場者が集まりました。ランドセルや制服リメイク、スタンプやスニーカー修理などの展示が人気で、以下のような声が聞けました。

  • 「ランドセルがまだ家にあるから、やってみたい」
  • 「スニーカーは修理できないと思っていたが、修理できると知れた」
  • 「着物の活用方法を知れた」

といった声を聞くことができ、リメイクや物を使い続けることへの関心の高さがうかがえます。

お金では測れない価値

「お気に入りをもう一度着たい」「思い出をそばに残したい」そんな願いに応えるのが、リフォームスタジオのリフォーム・リペア・リメイクです。日常の悩みから記念の品まで、さまざまな思いを新しい形に変えています。

リフォーム・リペア・リメイク事例
スニーカーのすり減ったかかと修理

コートのボタン交換

詳しくは、お直しドリームキャンペーンをご覧ください。

これらのリフォーム・リペア・リメイクは、ただ形を変えるだけではありません。成長とともに役目を終えたランドセルは、家族や友だちとの思い出を宿したまま、身近に寄り添う存在へと生まれ変わります。履けなくなったスニーカーは、修理を施すことで再び日常を共に歩む一足になります。形見として受け継いだコートも、今の暮らしに合う形へ整えることで、世代を越えて着続けられる一着になります。手をかけることでモノは単なる所有物ではなく、記憶や時間、そして人の思いを未来へつなぐ存在になるのです。

そこにあるのは「買い替え」では得られない特別な体験です。リフォーム・リペア・リメイクには、お金では測れない価値が宿っています。

修理できるモノは、思ったより多い

修理できるモノは、思ったより多い
毎日使う洋服や靴、バッグは、壊れてしまうと「もう無理かも」と思いがちです。でも実は、プロの手で直せるものは驚くほど多くあります
リフォームスタジオでは、気づかないうちに諦めていたものが再び使えるようになる場面がたくさんあります。

洋服は、ちょっとした破れやサイズの悩みでも修理すれば長く着続けられます。
靴は、かかとや底の貼り替えで履き心地が見違えるように変わり、バッグもファスナーや持ち手の修理で再び活躍できます。

「もうダメかも」と思ったアイテムこそ、直せる可能性がたくさんあります。捨てる前に一度、プロに相談してみることで、思いがけない“使い続けられる未来”が広がります。

サーキュラーエコノミーを体現する

万博での修理実演と、全国各地で提供しているサービスを通じて、私たちは「直して使う価値」を伝えてきました。
身近な場所で循環型の選択肢を届けることこそが、リフォームスタジオのサーキュラーエコノミーです。

私たちが万博で伝えたかったこと

万博では、9月23日(洋服)、27日(靴・キャスター)、28日(洋服)の3日間限定で修理実演を行い、来場者の方々に「普段見られない技術」を間近でご覧いただきました。「修理できないと思っていたが、直せると知れて良かった」といった声が寄せられ、修理という仕事の価値をあらためて感じていただく機会となりました。

一方で、「このバッグも直せる?」「どこで頼める?」「料金は?」など質問も多く、関心の高さがうかがえました。
会場内で実施したアンケートでは、展示を通して多くの方が“お直ししたい気持ちが強くなった”と回答しており、技術を見てもらうことの意義を強く実感しました。

地域に根ざした循環の拠点

地域に根ざした循環の拠点

リフォームスタジオは、イオンモールをはじめとする身近な商業施設に店舗を構えており、暮らしのすぐそばで安心して相談できる存在です。

洋服のお直しを行う「マジックミシン」「リフォームスタジオ」は全国に405店舗、靴・バッグの修理やケアを担う「リアット!」「ミスタークラフトマン」「エコクラフト」は222店舗。さらに、収納スペースの「蔵Rent」、コインランドリー「Hare365」も含め、全国668店舗(2025年2月末時点)を展開しています。

多彩なサービスを通じて、地域で気軽に利用できる“循環の拠点”としての役割を果たし、直して使い続ける文化を日常の中に広げています。

今日から始められる、サステナブルな選択

私たちの身近な行動は、今日からでもサステナブルにつながります。買う前に考えること、日々のお手入れ、直す・リメイクするという選択。特別な準備はいりません。暮らしの中の小さな工夫が、服やモノの未来を変えていきます。

買う前に、本当に必要か考える

無駄な買い物を防ぐには、買う前に“本当に必要か”を立ち止まって考えることが大切です。
手に取ったときに「着回せるか」「長く使えるか」を考えるだけで、衝動買いをぐっと減らせます。
自然と量より質を選べるようになります。次の買い物で、まず3秒だけ考えてみましょう。

日常のお手入れで寿命を延ばす

日常のお手入れを少し意識するだけで、服や靴、バッグの寿命は大きく伸びます。
適切なお手入れは劣化を防ぎ、長く使える状態を保ってくれるのです。

衣類は洗濯表示を守り、靴はブラッシングや防水ケアを取り入れます。バッグは汚れを早めに落とし、型崩れを防ぐだけでも効果があるのです。こうした小さなお手入れの習慣が、大きな差につながります。

リフォームスタジオでは、靴みがきやバッグのクレンジング&ケアなどのメンテナンスサービスも提供しています。お手入れの仕方が分からないという時も気軽にご相談ください。

「直せる」を知る

ものを捨てる前に「直せるかもしれない」と考え、まずプロに相談してみてください。
思っている以上に多くのものが修理でき、可能性を知るだけで選べる道がぐっと広がるからです。

洋服・靴・バッグは、一見無理そうに見えても直せることが多く、実際にできることは想像以上です。
「直せる」を知るだけで、捨てずに活かす選択がもっと身近になります。

リフォーム・リペア・リメイクで新しい命を吹き込む

リフォーム・リペア・リメイクは、手放そうとしていた服や思い出の品に新しい命を吹き込み、もう一度使える形へと生まれ変わらせる力があります。
形やサイズが変わっても、素材や思い出そのものには価値が残っており、工夫次第で長く使い続けられるためです。

たとえば、サイズが合わなくなったコートをリフォームして再び着られるようにしたり、着物をドレスやバッグへリメイクしたりすることも、ランドセルを財布やキーホルダーに生まれ変わらせたりすることも可能です。あるいは、思い入れのあるスニーカーのソールをリペアすることで、再び履けるようにすることもできます。

どれも“使えなくなったから終わり”ではなく、新しい役割を持たせる発想です。

リフォーム・リペア・リメイクは、思い出や愛着を未来につなぐ、豊かな選択肢です。

思い出を「特別なモノ」へリメイクする

リメイクは、思い出のつまった服やランドセルを、今の暮らしの中で大切に使える「特別なモノ」へ生まれ変わらせる方法です。
デザインやサイズが合わなくなっても、素材や思い出はそのまま残り、工夫することで新しい形としてよみがえるからです。
リメイクは、大切な記憶を未来へつなぐ、心温まる選択です。

一人ひとりの選択が、循環型社会を創る

万博では多くの来場者が「お直ししたい」という気持ちの変化を実感していました。小さな選択が積み重なれば、社会は確かに変わります。
特別なことではなく、日々の行動こそが循環型社会をつくる力になります。

多くの方が感じた意識の変化

多くの方に「お直し」への意識変化を生み出す大きなきっかけとなりました。
展示を通じて、修理やリメイクの可能性を具体的に知ることができ、“使い続ける”価値を実感していただけたためです。
展示体験は、修理を身近な選択肢として認識する大きな一歩になりました。

サーキュラーエコノミーは特別なことじゃない

サーキュラーエコノミーは特別なことじゃない
サーキュラーエコノミーは、特別な知識や大きな行動が必要なものではありません。まずは「捨てる前に考える」習慣を持つことから始められます。
修理して長く使う、次の人につなぐといった小さな選択が積み重なることで、未来の環境は確かに変わっていきます。

「使い続ける」豊かさ

ファッションをめぐる環境問題は、私たち一人ひとりの選択によって確かに変えていくことができます。
リペアやリフォームは、廃棄を減らすだけでなく、買い替えより経済的で、思いを未来へつなぐという面でも社会に優しい選択です。

サーキュラーエコノミーは特別な取り組みではなく、日常の延長線上にあります。捨てる前に「直せるかな?」と考えてみるだけで、モノの寿命は大きく変わります。
その小さな一歩が、使い続ける豊かさを広げ、循環型社会への扉を静かに開いていくのです。

出典・参考文献

  1. UNEP 国際環境技術センター. “Unsustainable fashion and textiles in focus for International Day of Zero Waste 2025”. https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/unsustainable-fashion-and-textiles-focus-international-day-zero(参照 2025-12-5)
  2. 環境省. サステナブルファッションとは. https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/about/(参照 2025-12-5)
  3. Ellen MacArthur Foundation(エレン・マッカーサー財団). A New Textiles Economy: Redesigning fashion’s future. https://content.ellenmacarthurfoundation.org/m/6d5071bb8a5f05a2/original/A-New-Textiles-Economy-Redesigning-fashions-future.pdf(参照 2025-12-5)
  4. 環境省.令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書. https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html(参照 2025-12-5)
  5. サーキュラーパートナーズ. 目標設定: GS-00000594 リフォームスタジオ株式会社. https://www.cps.go.jp/goalsetting/a0EGA00000eI4Iq2AK/gs00000594(参照 2025-12-5)

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